東京都市町村職員研修所
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渡辺 孝義 講師
<コラム>「Passion・Mission・Action」 頑張っている人 応援します!!
<コラム>充実の6年間に感謝
<研修のエッセンス>講義のツボ「問題と解決の方法 」
◆ プロフィール
特別講師
渡辺 孝義 (わたなべ たかよし)
 経歴
  昭和45年国分寺市役所に入職。市民課、広報広聴課、議会事務局、文書課、職員課を経て総務部次長、議会事務局長、福祉保健部長・福祉事務所長を務め平成18年3月定年退職。平成18年4月から東京都市町村職員研修所特別講師。
 登壇科目
  職層別研修として 地方自治制度、地方公務員制度、政策課題研究(企画書型・ディベート)、公務員倫理、仕事と人のマネジメント(JST)など 
政策・法務研修として 憲法、行政法、地方自治法、政策法務演習(立法法務)など
 その他
  趣味・・・スポーツ部門では、テニスとバドミントン。楽しんで健康管理ができればと思っている。したがって実力もそれなりのもの。でも身体を動かし汗をかくのは気分爽快。
その他の部門では、植物を育てること。特に山野草は興味深い。気軽に緑と触れ合えるかわいらしいこけ玉づくりを一つ紹介したい。手軽で失敗の少ない方法は、ポット植えの小さな植物(草でも可)を鉢から抜いて、根鉢をくずさず角の土を軽く落とし団子のように丸くする。根鉢全体をハイゴケで包み、丸い形に整える。木綿の黒糸を巻いて崩れないようにする。吸水させて出来上がり。
スポーツはゴルフを少々
 研修生へのメッセージ
  自治体職員の仕事は、住民福祉の増進です。福祉とは、人の「幸せ」です。幸せに通じる仕事をする職員が、「情熱(Passion.)」と「使命感(Mission.)」を持って「行動(Action.)」することは、すばらしいことです。もちろん全てが研修で得られるわけではありませんが、十分気づかせてくれます。そこはあなたが思っている以上に刺激や知恵が得られるかもしれません。見方を変えれば見えないところが見えてきます。主人公は、あなたです。頑張っている人応援します。

<コラム>「Passion・Mission・Action」 頑張っている人 応援します!!
   今年の4月から研修所講師の仲間入りをさせていただいています。よろしくお願いいたします。
 自治体職員として様々な職場を経験してまいりましたが、年毎にその置かれている現状や課題が明確になり、住民福祉の増進に資するものが何かがに見やすくなりました。同時に人材育成の必要性も痛感してきました。
 職員の育成は私の仕事でもありましたが、「卒業」を機に、気持ちも新たに、研修所の講師として実践しているところです。
 地方公務員として培ってきたことや民間での経験、また従前私自身が受講生として受けてきた有益な助言や指導も活かし、講師として研修生に伝えていきたいと思っています。スケールも大きくなり難しさもありますが一層の遣り甲斐を感じているところです。
 さて、分権型社会における自治体は、政策主体として、自ら政策を企画・立案・決定する責任をもつことになります。いわゆる地方分権一括法による「分権改革」により、法的にも自治体は政策主体として位置付けられ、分権時代を担う自治体職員の責任は従来にもまして大きいものがあります。職員には明日を切り拓く意欲と能力が要求され、更に管理者には部下職員の指導と育成が要求されます。
 それには、職員自らの研鑚が欠かせないわけです。個人学習(自己啓発)が基本かもしれませんが,グループ研究の効果も大きいと思います。個々の自治体単独では非効率であったりするものも、スケールメリットが活かせる研修所を活用することは、大いに効果のあることでしょう。日常を離れて他の自治体の職員と出会うことで、想像以上の刺激や気づきが得られるものと思います。
 最後に重ねてお伝えします。
 自治体職員の仕事は,住民福祉の増進です。福祉とは人の「幸せ」です。幸せに通じる仕事をする職員が、「情熱(Passion)」と「使命感(Mission)」をもって「行動(Action)」することは、すばらしいことです。もちろん全てが研修で得られるわけではありませんが、十分気づかせてくれます。あなたが思っている以上に刺激や知恵が得られるかもしれません。見方を変えれば見えないところが見えてきます。主人公はあなたです。頑張っている人応援します。
  研修情報誌「こだま」第91号(平成18年9月30日発行)より掲載
<コラム>充実の6年間に感謝
   瞬く間の6 年間でした。

 「教えることは学ぶこと、研修生と共に学ぶこと」の大切さを常に考えてきた6年間。勉強も十分できました。実に楽しい6年間でした。

 研修生に必ずお話ししてきたこと、それは、「自治体職員の仕事は、住民福祉の増進です。福祉とは人の「幸せ」です。幸せに通じる仕事をする職員が、「情熱(Passion)」と「使命感(Mission)」をもって「行動(Action)」することは、すばらしいことです。」ということです。ぜひ実行してみてください。

 Passion、Mission、Action! さあ! 口ずさんでみませんか。何となく元気が出てくるでしょう。これからも頑張っている人を応援します。

 講師室の良き仲間に恵まれ、教務課の良き職員にも恵まれました。たくさんの研修生とお会いすることができ、感動もいただきました。感謝です。 ありがとうございました。
  研修情報誌「こだま」第103号(平成24年3月31日発行)より掲載

<研修のエッセンス>講義のツボ「問題と解決の方法 」
1「問題」ってなに?
 どのように解決するの?
 「これは問題だ。何とかして欲しい。」「あなたならどうする?」「どう解決するのですか?」と言われたときに、あなたならどうしますか。どう解決したらよいのでしょうか。 その解決方法がわかると安心できますね。
 そして、もうひとつ、それは本当に「問題」なのでしょうか。「問題」でないもの(間違っている問題)に一生懸命取り組んでも解決にはなりません。
 では、どのようにして本当の問題(正しい問題)を発見するのでしょうか?
 その答えを出してくれる研修をご紹介します。この研修は、具体的な事例を通して問題を発見し、解決するまでの考え方や道筋を教えてくれるものなのです。

(1)「問題」ってなに?
 最初に、そもそも「問題」とは何でしょうか。私たちはいろいろな意味に使っていませんか。分からないこと。困ったこと。変わっていること。想定外のこと。いけないこと。差し障 りのあること。結論を出すべきこと。解決すべきこと。課題とか論題又は不条理なこと。等々使い方は多方面にわたっています。
 これらの内容には、「その発言は問題だ」とか「問題を起こす」など否定的な意味をもつものがあります。また、「試験の問題」とか「結論を出すべき事柄」や「解決すべき事項」等 肯定的な意味をもつものもあります。このように、問題という言葉には、消極的(否定的)な性格のものと、積極的(肯定的)な性格のものがあります。
 いずれも、目指すべき目標と現状が一致していないことで共通しています。  そこに着目してみましょう! 当事者にとって「あるべき姿」、「望ましい状態」、「期待される結果」 である目標と、「実際の姿」、「予想される状態」、「予期しない結果」である現状とが一致していないということです。これと反対に、目標と現状との間にギャップがなく、満足して いれば問題がないことになります。
 このことから、問題を定義すると……「問題とは、目標と現状とのギャップであり、解決すべき事柄である。」となります。この「問題」を「意識すること」が重要になります。

(2)「問題意識」ってなに?
 あなたは、「問題意識を持っていますか?」とか「問題意識を持ちなさい!」と言われたことはありませんか? ここでいう「問題意識」とは何でしょうか?
 問題意識とは、ギャップ意識のことです。本当の問題(正しい問題)を意識させるために、ギャップを明確にさせるということです。
 「問題意識」をもつとは、このギャップ意識をもつことであり、目指すべき目標と現状を明確にして、ギャップを探求することができることです。
 積極的に問題として捉えようとしなければ捉えられません。問題として捉えることができて、はじめて解決への道が開けるのです。
 従って、この「問題意識を持つ」ということは、問題解決においてはとても重要なことになります。そのための訓練として、この研修では、簡単な事例から順次複雑なものに至るまでの 事例が用意されています。

2 事例研究にチャレンジ
 事例を通して、誰が、どのようにして問題を発見し、解決するのかを考えていきます。
 手順は右の図のとおりで、スタートして、ステップ1 からステップ5 までを順番に進んでいけばよいのです。

(1)スタート 当事者としての立場を明らかにする。
 最初に、事例をよく読みます。登場人物は誰と誰? 何が起こっているの? どのような状況なの? 誰が困っているの?……等々
 そして、問題を解決すべき人が誰なのかを明らかにします。これを「当事者としての立場を明らかにする。」といいます。立場が違えば、目標や現状の 認識が異なり、問題のとらえ方が違うということになります。したがって、問題に直面している人は誰なのかを特定します。
 問題は立場によって異なることを認識し、その人の立場で考えます。立場が明らかになったら、次は、目標を明確にします。

(2)ステップ1 目標を明確にする
 「目標を明確にする」というのは、問題を認識するための必要条件の一つです。すなわち、当事者の立場としての目標を明らかにするということです。「目標」とは、当事者にとって 「あるべき姿」であり、「望ましい状態」、「期待される結果」です。
 事例研究における「目標」は、当事者から見た目標であり、当事者の立場としての目標です。当事者が、何をしたいのか。どうなりたいのか。事例の中から明確に読み取ることが必要です。
 自治体が掲げる目標には体系があり、上位、中位、下位等に区分されますが、ここでは、あくまでも当事者の目標であり、具体目標とも呼ばれるものです。

(3)ステップ2 現状を正しく認識する。
 ステップ2 では、現状を正しく認識します。「現状を正しく認識する」というのは、「目標を明確にする」とともに問題を認識するための必要条件の一つです。「現状」は、当事者の実際 の姿であり、現在起こっている事態をいいます。また近い将来起こると予想される事態も含まれます。目標と同様に、事例の中から当事者の置かれている現状を正確に読み取り、ありのまま を把握することが重要です。
 現状を正しく認識できないと、何が問題か分らないことになるので、正確に把握する必要があります。現状は、一つとは限りません。当事者の置かれている現状を多面的にとらえることも大切です。

(4)ステップ3 問題を確定し、課題を明らかにする。
 目標を明確にし、現状が正しく認識できると、問題が見えてきます。問題は、目標と現状とのギャップであり、解決すべき事柄です。現状を目標に照らし合わせ、ギャップの有無を検証します。 ギャップがなければ問題はなく、解決すべき事柄もないことになります。ギャップ・シーク(現状を目標に照らし合わせギャップを探すこと)によって、当事者としての問題を発見し、「問題」 として「確定」します。
 つぎに、当事者としてこの問題をどうしたいのか、問題に対してどう対応するのかを考えます。解決したい場合は、その決意を明確にすることが必要です。「問題を解決するためにはどうしたら よいか。」「どういう取り組みができるのか。」「必要な取り組みは何か。」を考え、問題を解決するために必要な取り組みを課題として設定します。これが「課題の設定」です。解決したくない のであれば、課題を設定する必要はありません。
 「課題を明らかにする」こととは、課題として設定したものを明確にすることです。すなわち、解決すべき事柄を明らかにし、解決に向かって取り組む意思を明確にすることです。

 今回は、問題解決の手法の中で最も重要な「問題の発見」を中心に、ステップ3 までを見てきました。
 ステップ4 では、課題の検討として原因究明し、原因に対する手立てを考え、ステップ5 の対策につなげていきます。対策では、当面の対策と将来への対策(長期的対策)を立てましょう。
 いかがでしょうか。このように問題を解決していく筋道を分かってしまえばあとは簡単ですね。
 グループ討議で、知恵を出し合い研究してみましょう。皆さまのおいでをお待ちしています。

 参考文献
 東京都市町村職員研修所編 政策課題研究・基礎(問題解決の手法)
 佐藤允一著  問題構造学入門
研修情報誌「こだま」第102号(平成23年10月1日発行)より掲載